大学4年生の時に言語の歴史に関する授業に出席していた。
どことなく浮世離れした、シェイクスピアをこよなく愛する老人の、
ひたすらに退屈な授業だったけれど、一つだけ印象に残っているのが、
日本語がある言葉のパターンを強く嫌うという点だった。
日本語と英語を比較してみれば、
日本語は開音節言語、つまりは母音で終わる言語。
言葉を伸ばして発音すると、「ん」を除いて必ず
アイウエオの母音でおわる。
母音の前にkstnhmyrwの子音をつけた五十音で構成される。
それに対して、英語は閉音節言語。
ほとんどの単語が子音で終わる。
だから、日本人には発音しづらい。
で、この二つは文法も属性も大きく異なって、
普通はうまいこと交わるはずはないのだけれど
日本人はカタカナという特殊な文字文化を利用して、
よく意味もわからないままに、聞いた英語を
そのまま日本語化するという離れ業をやってのけた。
white shirtsをワイシャツとして日本語化したみたいに。
(ホワイトのホとトは日本語にない発音だから、聞き取れず。。)
しかしながら、カタカナにしてみたものの、
どうしてもすわりの悪いものがいくつかあった。
その一つが母音+母音+n+m+母音の部分。
例を挙げれば、entertainment。
なるべく正確にカタカナにすればエンターテインメント。
エンターテインメントの「テインメント」を母音と子音に分けると、
t+e+i+n+m+e。
嫌なのが「e(母音)+i(母音)+n+m+e(母音)」の部分。
エンター「テイン」メントの「ン」が取れて
実際にはエンター「テイ」メントと発音してしまっている。
この「嫌な音の連なり」が現れたとき、
日本人は生理的に母音を変化させたり、nを外したりする。
えー、授業をよく聞いていなかった僕が、
説明をうまくできるわけのありませんので、この辺で本題へ。
本日お伝えしたかったのは、
日本語がどうしても嫌いな母音と子音の組み合わせがあるということ。
そして、これは「Houyhnhnm」フイナムという言葉も当てはまるということ。
f+u+i+n+a+m+uの「f」に続くウイナムという音の連なり。
「u+i+n+a+m+u」の部分が日本人として生理的にすわりが悪いから、
「ウイ」を小さく「ィ」と発音する。
つまりは、ほとんどの人が「フィナム」と読んでいるのは、
仕方のないことだというお話でした。
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