先日見た『情熱大陸』。
フォーカスされていたのは、
昨年ノーベル賞を受賞された益川敏英氏でした。
物理学という学問はどこか僕たちの生活から遠いような気がするけれど、
それは大きな間違い。
それは益川さんのお話を聞いていれば、
心に届いてくる確かな印象でした。
物理とは「モノ」が存在する時点で生まれる学問。
この世にあるもの全てが物理の原則から抜け出すことはできない。
そして、物理の世界においてTOPランナーである益川さんも、
全ての物事に通じる信念と知恵と経験をお持ちなのかもしれません。
大学の講義を終えて、質問の時間をとった際、
益川さんは「何でも質問しなさい」と言います。
それに対して一人の学生が
「就職活動のコツを教えて欲しい」と
見当違いな質問をぶつけます。
しかし、益川さんは淀みない調子で応えます。
「物理学の世界では、何事も実験と検証の末に答えが見える。
だから今すぐに自分がどの会社にあっているとか、
どんな仕事に向いているとか決めつけない方がいい。
可能性はいつも大きく、何事も一歩を踏み出して、
そして確かめなさい」
また、とある学校の体育館で講演を行っている際に、
一人の若者から「どうして勉強をしなければいけないの?」
と質問を受けます。
益川さんは言います。
「わたしは長い長い時間120%の努力をし続けてきました。
それこそ夜も寝ずに、休まずに。
その結果として、ノーベル賞を頂いたけれど、
何の未来も見えない努力の最中にあっても、
私はとても楽しかった。
勉強とは、120%の努力を続けていながら、なおも楽しい。
そんな人生を過ごすための準備です。
自分が本当にしたいことをするために、
自分が本当にいたい場所にいるために、
勉強とはあるものです。
どうか、楽しいと心から言える人生を見つけてください」
なんて、揺るぎのない言葉だろう。
本当のスペシャリストとは、
1点に集中して力を持つ人ではないんですね。
きっと1点に集約した末に、その小さな、揺るぎのない点から
堂々と世界を見渡すことのできる人だ。
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