パソコンの前に座る事に疲れると
いつも数分間サボタージュをする小さな公園。
敷地は大きく三つに分かれています。
一つはオブジェから水が流れる噴水と
それを囲むベンチの一帯。
お昼時には周辺のビジネスマンが昼食をとります。
二つ目は鉄棒とブランコが備わっている広場。
麻布という場所柄か、様々な言葉を話す子供たちが
駆け回るインターナショナルなプレイグラウンド。
そして、三つ目がお稲荷様を祀る神社。
朱の鳥居と立派な桜の木が守る神聖なエリア。
散歩がてらにお参りをする人がちらほらと。
この公園は個人的な尺度で見てみると、
かなり賑わいがあるように思えて、
人気の理由はどこにあるのだろうと、
考えるともなく考えていました。
そして1年間ほど通ってみて、
この公園が持つバランスの良い雰囲気の中心にあるのは、
鳥居の傍らにある手水舎なのだと感じる様になりました。
いつも清潔なお水で満たされていて、
訪れた人々が手を清める手水舎。
春は桜の花びらが、秋は落ち葉が
水の中にきらめく美しい石の器です。
では、それを管理しているのは誰なのか。
答えは一人のホームレス。
午前11時までと、午後3時以降公園のベンチに横たわり、
訪れる人から嫌悪を視線を浴びる、
このスペースで唯一浮いている
汚れた衣服をまとった一人の男性です。
彼は毎朝大きなビニール袋で公園の蛇口から水を汲み、
手水舎の水を交換しているのです。
何となく「主」という言葉が浮かびました。
公園の核を管理しているという意味で、
この公園の主はそのホームレス。
そこからさらに思考を飛躍させてみました。
このホームレスが僕にしか見えていなくて、
実は彼が主ではなく、土地神だったらどうしよう、と。
こんな風に見えているけれど、
実は神社に祀られたお狐様の化身だったら。
で、話しかけてみました。
「どうして毎日お水の交換を?」
答えはこうです。
「なぜって、喉が渇くから。
さいきんは自分でできることは自分でやってる。
誰かにお参りされてるだけじゃ、最近は喉も潤わない。」
汚れた服の神様はぼやいたのでした。
と、ここで思考の暴走終わり。
主人公とお狐ホームレスのお話、
物語の設定としては悪くないかも。
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