10年以上前、地下鉄の吊り革につかまりながら、
理系の友人から聞いた話。
簡単には理解できる訳もないのに、
無理矢理に説明させた、核爆発の原理。
全ての物質を構成している原子。
まぁ、この世にある物質の一番小さい形で、
それよりも細かくは分割することはできないのだから、
当たり前だけれど、それはとてもとても安定しているものらしい。
だから、その中心にある原子核を人工的に壊すと、
一気に、馬鹿げたくらいに不安定な状態が作られる。
極度な安定から、極度な不安定へ。
そこには怖いくらいのエネルギーの移動が起きる。
そのエネルギーが周りの連鎖して、核爆発は起こされる。
で、何の話かというと、
安定と不安定の間にあるエネルギーの話です。
例えば、それがファッションの世界なら、
さらにメンズに限っての話なら、
洋服が持つ呼び名って限られていると思うのです。
ジャケットとか、パンツとか、シャツとか、ブルゾンとか。
しかも、バイオリンみたいに、何百年も前からいじりようがないくらい
形が完成している訳でなくても、たぶんそれぞれに完成された形
ってものはもうあるように思うのです。
つまりは、服ってある程度安定していると考えてみます。
それなら、洋服の作り手は
何を目指しているんだろうとも考えてみます。
で、一つの答えがもしかしたら「不安定」なのではないかと。
それも大きなエネルギーを持つ不安定。
水や気圧は、高低差を作ることで、
どこかの街で雨が降ったり、
そのエネルギーは水が海に流れ込んだりするまで、
圧倒的なエネルギーを帯びて動き出します。
それと同じことが洋服にも言えないものだろうか、と
ふと思いました。
誰かがまとうことを計算に入れて、
美しい不安定さが生み出されることはきっとある。
どこまでも安定した美しさは、
きっとオーダーメイドでしか作れなくって、
それは誰もが手に入れられる訳じゃありません。
規定の概念を外れて、
新しい素材を取り入れたり、
縫製を途中で止めてみたり、
シルエットに歪みを入れてみたり。
それは安定を壊す行為だけれど、
それを人が着て生まれる不安定が、
オーダーメイドの美しさに負けないくらいの
誰かの目を奪う魅力になることもあるのかも。
人の数だけあるアンバランンス・バランス。
だから、きっとファッションは面白い。
そうそう、fevの展示会がもうすぐ。
新展開、ありますかね?楽しみです。
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