こんばんは。
前回の手紙をちょっとイレギュラーなタイミングで書いたから、
もしかしたら、一晩で2通の手紙を読むかもしれないですね。
さて、今日は僕とある人とのお話を。
と、その前に。
何を今更って感じだけれど、こんな手紙ってないですね(笑)。
全然脈絡もなければ、自分の記憶をたどって書いた内容だったり。
確かにあなたに向けて書いてはいるのだけれど、
手紙に書くような事柄ではないような気がして。
もしかしたら、寝る前に語る物語のようなもの、かも。
小さな子供が「何かお話をして」と言って
「じゃあ今夜は○○のお話ね」と言って口を開くような。
少し脱線。今夜はそう、僕とある人のお話を。
子供の世界から少し抜け出し始めた思春期の始まり。
気が付けば、目を背けられないような人がいました。
その人はいつも僕のそばに、でも何歩か先にいて。
僕はその背中を色んな気持ちを抱えながら見ていたんです。
僕よりも先に生まれていたその人は、
当たり前だけれど、僕よりも先に色々なことを経験して、
僕よりも先に大人になっていって。
たぶん、自分で決めて、その人と同じものを選んでいたのに、
自分で視線をむけているくせに、
いつからか、大きな背中に苛立ちを覚えるようになって。
たとえば同じ体育館のコートでベンチから見る姿は、
何より圧倒的な力をみなぎらせていました。
そこに誰もいないように自由に動いて、
時々誰かが立ちふさがっても、それを楽しむように躍動する。
この人の感じているものを自分はきっと感じることはできそうもないと。
「才能」というものの絶望的な力を知ったのも、その人からでした。
あまりに近くにいるから、どうしても周りは僕らを比較して、
電車でどこかの街に出かけても、知らない誰かがその人を通して僕を知っていて。
そんなもの誰でも経験があることなのかもしれないけれど、
もちろん自分で解決しなければいけないものなのだけれど、
やっぱりそういう世界で日々を暮らすのは、
簡単なことじゃなかったような気がします。
それから何年もたって、ある夜食事をしているとき、
ふいにあの頃の話になって、
僕とその人がどんな関係だったか聞かれたことがあってね。
お酒に酔っていたこともあったけれど、
ひどいことを言ったんです。
「いなくなっちゃえばいいと思ってた」って。
周りの人たちは、今の関係からは想像が付かないとビックリしてたな。
じゃあ、いつから、どういう風に仲良くなったのなんて言って。
あの飲み屋さんでのことを思い出すと、時々胸がチクリとしてね。
理由はひどいことを言ったからではなくて、嘘をついたから。
本当にいなくなればいいと思っていたのなら、
こんなに長く痛みは感じないはずで、
この間駅のホームで思いついたんです。
本当の気持ち。
本当はどう思っていたのか。
いなくなってしまえばいい、と思っていたのは本当。
でもね、そのベクトルが向いていたのは、自分の方だった。
思春期の自分じゃ認めることなんて出来なくて、
人のせいにするのが精一杯だったけれど、
本当はね、自信のない格好の悪い、
こんな自分なんていなくなっちゃえばいいと思ってた。
嫉妬と劣等感で泣き出しそうな毎日の原因は、
ただシンプルに僕の弱さにあったのに。
マイブラザー。この場を借りてごめんなさい。
そんなに嫌いじゃなかったよ。
って、んー。
やっぱり手紙に書くようじゃないですね、これ。
ましてや子守唄にもなりそうもない。
言い訳をするわけではないけれど、
単純に話したいことがたくさんあるのです。
それも本当の気持ち。
おやすみなさい。
次に向かう、時計の針が少し進むその街に、
心穏やかな時間がありますように。
それではまた、このフロアで。
チャン。
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