いつものようにメールボックスを開いてみれば、
古い知人からの手紙が届いていました。
まだ二十歳くらいの時一緒にいた、懐かしい名前。
呆然としたままメッセージを開いてみれば、
そこには僕の知らない10年間が、丁寧に、静かに綴られてた。
大切な人が逝った深い悲しみと、少しの安堵感。
覆いかぶさるように訪れた苦しみとあきらめ。
そして、見つけた穏やかな日々。
まだ生きているかどうかわからないメールアドレスに
震える指で打ち込んだ事が伝わる文章の最後。
本当の私を見せた数少ない誰かに、
私の今を知って欲しかった、と書かれていました。
そして、どこかの本屋さんで僕の名前を見つけられたら嬉しいと。
返す言葉なんて何もない。
けれど、どうか僕の古い知人の普通の明日に、
やわらかな幸せがあるように。
いつかどこかで出会っても、僕は決して足を止めないけれど、
きっと笑顔ですれ違う事くらいはできるように、
心と体をもっと強く。ただ素直に。
おやすみなさい。
全ての過ぎ去った思い出に素敵な夢があるように。
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